今目が離せない3人の苦労人経営者

経営者。それも雇われ経営者や二代目、三代目ではない創業経営者。

私のような平凡な雇われ者とは違い、自分の能力を信じて安定を捨てハイリスク、ハイリターンの世界に打って出る姿は例え失敗したとしても尊敬する。

そんな創業経営者の中でも、今目が離せない経営者が3人いる。

一人目は百円ショップのザ・ダイソーで有名な株式会社大創産業の矢野博丈社長だ。

今や売上高3500億円、百円ショップトップ企業の社長なので物凄いポジティブ思考のエリートかと思いきや、この矢野社長はその全く反対といってもいいくらいの変わった社長なのだ。

まずは矢野社長の発言を見てもらいたい。

私はどうしようもないただのオッサンです
お客様はよう分からん
そもそもダイソーなんて底の浅い商売ですから
お客様にはすぐ飽きられるものです。ずーっとずーっと恐くて、眠れなかったんですよ
セリアには店でも商品でも負けた
イトーヨーカ堂の会長に自社商品を見せたらものすごい怒られた。「こんなもの作ってたら後3年で潰れるぞ、商品に魂を込めろ」と
新しい店舗は社員たちが決めて作り上げました。私にはとても、こんな店作りはできません

2番目のお客様はよう分からんと5番目のセリアには店でも商品でも負けたには思わず頭の中が?でいっぱいになった。これだけ成功している巨大企業の社長の口から発せられる言葉とは思えない。

これは筋金入りのネガティブ思想の持ち主だ。

しかしながらこれは転職9回、夜逃げ1回、火事1回という常人ではとてもではないが味わう事のできない苦労をした矢野社長だからこその思想だと思う。

どれだけ成功を収めていてもいつ潰れるか分からないという恐怖心を常に持ち続けたからこそこれだけの巨大企業に成長したのだろう。

円安や中国との関係で百円ショップはこれから苦しい時代に突入するかもしれないが、この矢野社長がどういう舵取りをしていくのか目が離せない。

二人目は宅配野菜で有名なオイシックス株式会社の高島宏平社長

この社長は東京大学大学院を出て外資のコンサルティング会社に入社したエリート中のエリートだ。

普通に暮らしていれば安定した生活は保障されているのに会社を退職し、20代でオイシックスを設立している。若手の社長は往々にしてこのような道を辿っているがよほど自分に自信があるのだろう。羨ましい限りだ。

そんなエリートが考えるような商売だからすぐに結果が出るものなのだろうと私のような凡愚は思うのだが、実際はそんな事はなかったようだ。

4年目からようやく黒字化したのだが、3年間は本当に資金繰りが大変だったようでなんと50社ものベンチャーキャピタル(未上場企業に投資する会社)に断られ、ベンチでぼーっとしている事もあったらしい。私なら間違いなく精神的におかしくなるだろう。

それでも自分のアイデアを信じて、設立から13年でマザーズ上場の売上高145億円の企業まで成長させたのだから大した化物だ。

このオイシックスは宅配野菜ではおそらくトップシェアを誇っていると思うが、これから競合が増え争いも激しくなる中でどういった戦略をとっていくのか非常に気になる。

ただ、経営者の能力では頭ひとつ抜けているのは間違いない。個人的に利用もしているし好きな企業なので、これからどれくらいシェアを拡大させていくのか目が離せない。

追記

私はオイシックスをかなり気に入っていたのだが、最近やたらと勧誘電話をかけてくるようになった。
アンケートがどうとかでお時間をくださいと言ってきたので仕事で忙しかったけれど答えたのだが、それから2日後にまた同じ事を言ってきた。「2日前にも答えたよ」と少し怒り気味に答えると「すいませんでした」とこちらより先に電話を切った(普通はこっちが切ってから切るだろう)
さらに次の日、また同じ内容の電話が来たので、さすがに腹が立って「いいかげんにしてくれ!こっちは仕事中なんだよ!」ときつく言ってやった。
こんなにしつこい電話勧誘がこの会社の方針なのだとしたら高島さんに対する考えを改めざるを得ない。1つだけ言ってやりたいが電話勧誘は本当にやめた方がいい。私を含めほとんどの人はいいイメージを持たないだろう。
電話のマナーが良ければまだ許せたがそれも最悪。やはり会社が大きくなってくれば質の低下は避けられないのかなと思ってしまった。早急に方針を改めるべきだろう。

最後の三人目はテラモーターズ株式会社の徳重徹社長

上の二つと違いこのテラモーターズという会社を知らない人は多いだろう。簡単に説明すると2010年に設立で電動バイク・電動シニアカー等を製造販売している会社だ。

私自身知ったのは最近なのだが、テレビで電動バイクをアジアに展開していくという番組を見た時だったと思う。そのテレビはバイクの部品や製造拠点の選定から融資の話までどれも非常に面白い内容のものだった。

徳重社長はMBAを取得しているエリートで、アメリカでも事業を立ち上げるくらいの行動力溢れる人だ。さぞかし野心が高くギラギラしているのだろうと思いきや穏やかな顔をしたどちらかというと草食系に見える。

番組では部品の選定に苦心したり、国家プロジェクトで相手国からの無理難題に直面したりと私なら絶対にハゲるような苦境にも冷静に対応し、英語を流暢に話して外国人と交渉していた。グローバルに活躍する会社の社長とはこういう人なんだなと尊敬したものだ。

まだまだ設立したばかりの会社だが、個人的には間違いなく日本を代表する企業になると予想している。

日本を誰よりも愛していながら、日本人の失敗を恐れたり、決断できない気質を非常に残念に思っている徳重社長が世界に向けて新しい日本人の姿を見せてくれると思うと目が離せない。

今回紹介した3人の創業経営者の方々は、皆とてつもない苦労をしながらも自分の能力、アイデア、そして同じ志を持つ仲間の力を信じて戦っている。

人は自分が持っていないものを持つ人に憧れ、尊敬するものだなとこの記事を書きながら改めて思った。どうか日本を良い方向に進めていって欲しいものだ。