株価が上がって喜んでるのは誰なのか?

日経平均が49000円を超えたというニュースを見た。

テレビをつければ「日本経済復活」と騒いでいる。政治家は「長年の経済政策の成果」と胸を張っている。

でも私の給料は上がっていない。むしろ物価高で生活は苦しくなった。周りを見ても同じようなものだ。

近所のスーパーはレジが減ってセルフレジが増え使いにくくなった。駅員は減った。銀行の手数料は上がった。そしてあらゆる食品の値段が上がり続けている。

景気が良いはずなのになぜ生活は苦しくなっているんだろう。この違和感がずっと消えなかった。

お金の流れ先の変化

答えはシンプルだった。企業が稼いだお金が働く人に回らなくなったのだ。

1990年代、企業が100の利益を出したら従業員に60、設備投資に20、株主に10という配分だった。それが2020年代になると従業員に45、設備投資に10、株主に35になった。この配分の変化を見ると、従業員への配分と設備投資への配分が合計で25%減った分、その多くが株主への配分増に回されている構造が見て取れる。

もっと具体的な数字を見てみよう。2000年に企業の配当総額は8兆円だった。それが2023年には19兆円になった。2.4倍だ。同じ期間、実質賃金はマイナス5%になった。

つまり労働者は貧しくなり、株主は豊かになった。これが過去20年の日本経済の真実だ。

深刻なのは国富の海外流出

「でも株価が上がれば日本の株主も嬉しいじゃないか」と思うかもしれない。ところが、日本株の32%は外国人が持っている。年間19兆円の配当のうち約6兆円が海外に流出している。自社株買いを含めると年間10兆円規模が国外へ消えている計算になる。

なぜこんなことになったのか。答えは円安だ。2020年に1ドル110円だったのが2024年には150円になった。日本企業が36%も「安売り」されたのだ。

海外の投資家から見たら今が買い時となった。彼らは株を買い、配当を受け取り、円高になったら売り抜ける。完全に食い逃げのパターンだ。

「利用しない株主」という矛盾

ここからが核心なのだが、昔は地元のスーパーの株主といえば地元の資産家だった。毎日そのスーパーで買い物をする。サービスが悪くなれば株主が怒る。だから経営者は品質を保った。

今はどうだ。スーパーの株主には外国のファンドなども名を連ねている。彼らはもちろんそのスーパーを利用しない。見るのは決算書の数字だけで「人件費削減しろ、配当増やせ」と言ってくる。

結果はこうなる。人員削減してレジ待ち時間が増える。商品の値段が上がる。品揃えが減る。しかし、外国の株主には関係ない。彼らは株価が上がり喜ぶ。配当が増えて満足する。これが全国で起きている。私が文句を言ったところでどうにもならない。

私が毎日使う駅も10年前は駅員が3人いた。今は1人だ。トラブルがあっても対応が遅い。宅配便は時間通りに来なくなった。ドライバーは疲れた顔をしている。いつも食べていたマーガリン入りのロールパンが小さくなってマーガリンも減った。

サービスは確実に劣化している。人手不足だコストが上がってると企業は言う。それは分かる。でも配当は増え続けている。企業の配当総額は20年で2倍以上になった。実質賃金はマイナスなのに。やっぱりおかしくないか?

誰が得して誰が損してるのか

60代の平均株式保有額は2330万円らしい。配当利回り3%として年間70万円だ。働かずに不労所得を得られる。外国人投資家は日本株から年間6兆円以上の配当を受け取っている。

一方で30代の平均株式保有額は340万円だ。そもそも投資する余裕がない層も多い。約30~40%の世帯は貯蓄ゼロだという。株なんて夢のまた夢だ。彼らは値上げとサービス劣化のダブルパンチを食らっている。

解決策はないのか

例えば、内需企業は配当を減らして株主優待を重視したらどうだろう。スーパーが配当3%出すより「10%割引券」を配った方がいい。配当は海外に流出して終わりだが、優待なら店舗で使われる。売上がアップして従業員の給料になって地域経済に還元される。お金が国内で回る。

しかも株主優待なら個人投資家が増える。個人投資家は実際の顧客だ。「使う株主」が増えればサービス品質への目が厳しくなる。健全な監視機能が働く。

もう一つは非上場化という選択肢だ。上場には監査費用や株主対応で年1億円以上かかる。四半期決算のプレッシャーもある。短期利益重視の圧力もある。成熟した内需企業に上場は必要なのだろうか。

経営陣による買収で非上場化すれば長期的な経営が可能になる。地域や従業員を重視できる。配当圧力からも解放される。実際、2023年は16社が非上場化した。流れは来ている。

外資規制も必要だろう。「自由市場が大事」という人がいるが、アメリカもEUも規制している。日本だけが無防備すぎる。最低限、鉄道やバスは外資上限20%、電力やガスは10%、医療や介護は30%くらいにすべきだ。国民の生活インフラは守るべきだろう。

誰のための経済なのか

日経平均49000円で誰が喜んでいるのか。海外の投資家、一部の富裕層、政治家だ。

誰が苦しんでいるのか。実質賃金マイナスのサラリーマン、投資する余裕のない若者、サービス劣化の直撃を受ける庶民だ。

株価が上がってもスーパーのレジで30分待たされる社会。電車がなくなり、病院が減り、店が閉まる社会。それを経済成長と呼んでいいのか。

経済は数字じゃない。人間の営みだ。

公平を期すために書いておくが、私の主張にも反論はある。

配当増と賃金減の直接的因果関係は証明できていない。消費税や社会保険料の影響も大きいだろう。非上場化すれば資金調達手段を失うし成長企業には不向きだ。株主優待は少額投資家に有利すぎて不公平だという意見もある。外資規制は国際摩擦を生むリスクがある。

これらは事実だ。でもバランスの問題だろう。今の日本はあまりにも株主に偏りすぎている。少しくらい是正しても罰は当たらない。

私は専門家でもない。ただおかしいと思ったことを書いているだけだ。でもあなたも感じているだろう。何かがおかしいと。株価は上がっても生活は苦しい。企業は儲かっても給料は上がらない。サービスはどんどん劣化する。

この違和感は間違っていない。構造が歪んでいるのだ。そして声を上げなければ変わらない。おかしいと言い続けることだ。

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