色覚異常という言葉を知っているだろうか。差別的な用語である「色弱」や「色盲」と呼べば私たちのような世代には分かりやすいだろう。
色覚異常にも多くの種類があり、代表的なのが先天赤緑色覚異常というもので厳密には1型色覚(例 緑は区別できるが、赤と灰色が区別しにくい)、2型色覚(例 灰色と緑色との区別がつきにくい)に分かれる。
この先天赤緑色覚異常をもつ人が日本人男性の約22人に1人、女性の約600人に1人いるようだ。
ちなみに白人男性では約12人に1人と言われている。その他の色覚異常も合わせると日本人男性の20人に1人、女性の500人に1人となる。
その色覚異常の子供の2人に1人がその異常に気付かないまま過ごし、その内6人に1人が、進路の断念などのトラブルを経験しているという記事を見た。
私たちが子供の頃はこの色覚異常を発見する為に色覚検査という検査を行っていたのだが、約10年前2003年から中止されていたようだ。
中止の理由はこの色覚異常と判断されると周囲の理解不足などから社会的な差別にも繋がりかねない事と例え異常があったとしても生活に支障がない事が多いからという事らしい。
しかしながら、親や本人がその事を知らないまま時が経ち、自分が就きたい職業を決めた時にこの色覚異常が原因で就職できないという事態が多発しているのだ。
世の中には色を識別しなければいけない職業が数多くある。特に鉄道や自衛隊などは命に係わるし、カラーリストやインテリアデザイナーにも必須だろう。
自分が色覚異常だと知っていたのなら初めからそのような職業に就こうとは思わなかったという人がいるのは当然ではないだろうか。
私の小・中学校の同級生には事故か病気かで右足の膝から下が欠損していた女の子がいたが、いつも明るい子だった。足が無いので体を使った仕事はできないけれど、普通の人以上に頑張って勉強して体を使わない仕事に就きたいと言っていたのを思い出した。
確かに色覚異常だと判別された時はとても辛い思いをするだろう。私も物心がついたくらいの時に先天性の弱視だと言われた時はショックだった。
だが知らないまま生活し、職業を決めた時にいきなりその事実を知り就業できなくなったとしたらさらに辛い思いをすると思う。
色覚異常のようなものは、癌などのように告知しない事で患者の生きる力を弱めないようにし、治療が終わり元気になった後で「実は癌だったんだよ」と笑い話にできるようなものではない。
確かに社会生活上問題なく過ごせるので、色覚異常も1つの個性だと考える事は間違いではなくむしろ正しいと思う。
だからこそ個性の1つとして教えてあげるべきではないかなと個人的には思う。一生付き合っていかなければいけない事なのだから。
精神的に未成熟な小学生くらいだと色覚異常を理解できずにいじめにつながるという意見もあながち間違いではないだろう。
だが、まず第一段階の進路分岐点である高校入学の前には教えてあげるべきではないだろうか。皆が普通科にいくわけではなく専門的な科に行きたい子もたくさんいるだろうから。
最近は昔と違い差別というものに非常に敏感になっている。当の本人よりもむしろ周りの人間の方が声を上げている事も多い。
私がいつも思うのは差別と区別は違うのではないかという事だ。周りの人間が差別だ差別だと声を荒げて様々な事柄を変えていく事によって本当に良い方向に向かっていっているのだろうか。
【関連のある外部リンク】
・色覚異常、半数気づかず 検査中止10年、進路断念も|朝日新聞デジタル
・色覚の異常