ヤマダ電機が家電業界で生き残る為に必要な事

家電業界の盟主ヤマダ電機が苦境に立たされている。

10月15日には2013年9月中間期の業績見通しについて大幅な下方修正(売上高は9300億円→8970億円へ減額、営業利益は136億円の黒字→24億円の赤字)を発表せざるをえなくなった。

大多数の人はこの結果を見て、「やっぱりな」、「当たり前」と思っているのではないだろうか。私は黒字を出している頃から、「どうして黒字を出せるのかな」と疑問に思っていた。

エコポイント制度や地上デジタル放送移行後の反動減の影響はもちろんあるとは思うが、それ以上の問題はamazon等のような通販業者との価格競争だろう。

店舗を構えるヤマダ電機が店舗を持たない通販業者と価格競争をすれば、例え売上はあがったとしても採算悪化は避けられない。

ヤマダ電機もそんな簡単な構図は見えているから、住宅メーカーのエス・バイ・エルを買収し住宅と家電をセットで販売する事による囲い込みを画策したり、ベスト電器を買収し仕入価格を下げたりと様々な手をうっている。

だが、私が思うのはそのようなハード面の問題ではないのだ。ハード面はもう十分に肥大化しているので、ある程度戦える武器は揃っているのではないだろうか。

ヤマダ電機の最も深刻な問題はソフト面、すなわち人だ

ヤマダ電機の店員の対応は最低最悪と思った人は私だけではないだろう。やる気の無い態度、値段の安い物に関しては勝手にどうぞという感じなのに、高い物になると露骨にペコペコしてくる気持ち悪さ。

買うまでは「アフターは通販には負けません」などと言うくせに買った後、壊れて持ってくると嫌々で適当な対応。

本当に酷い。対応の悪さは家電業界最高峰ではないだろうか。

店舗型家電業者が通販型家電業者と戦える唯一といってもいいメリットは対人販売ではないのか。インターネットの検索や機械に詳しい一部の人を除いて、ほとんどの人は家電に詳しくない。私もその内の一人だ。

だからこそ、気持ちの良い対応や詳しい説明、しっかりとしたアフターケアを求めてヤマダ電機へ行くのだが、彼らは期待を裏切らず、気持ちの悪い対応、適当な説明、気分の悪いアフターケアを提供してくれる。

店舗型唯一のメリットを更なるデメリットにわざわざ変化させる意図を是非とも聞いてみたいものだ。

その点、amazonや楽天は店員がいない。気持ちの良い対応や詳しい説明はないが、ヤマダ電機の店員の顔を見るくらいなら通販で買った方がいいと思ってしまうくらいだ。

日本人はamazon等がほとんどのシェアを持つ外国と違い、非常に義理堅い性質を持っている。

だから、対人販売は大きなメリットになるのだ。対応、説明、アフターケアをしっかり行えば、値段が多少高くてもその店で買う。

確かに一部は値段が安ければそれだけでいいという人もいるだろうが、全ての人がそうではない。店舗型家電業者でなければ心配だという人も数多くいるのだ。

店舗型家電業者は利益を削り過ぎてまで価格を最安値に合わせる必要はない。最安値が10万円の物を10万5千円で販売したとしても、その5千円分の付加価値を付けられるチャンスは通販よりはるかに多いのだ。

逆に今のヤマダ電機は10万円の物が15万円にも思える程の逆付加価値を付けている事に気付いて欲しい。勝てるわけないだろう。

私が店舗型家電業者の中でここは対応がいいなと思う所はケーズデンキだ。何がいいのか具体的に言えといわれるとなかなか難しいが、まず雰囲気がいい。

全てが完璧だとは言えないが、不思議な距離感、割と商品に詳しい、アフターケアもなかなかいいと全てが80点くらいの出来だと思う。

ヤマダ電機はケーズデンキを見習い、さらにその上を目指すべきだ。

買収買収でハード面を充実させるよりも従業員一人一人がお客様に気持ち良く買い物をしてもらえるように対応やアフターケア等のソフト面を充実させる方がよほど効果が期待できるだろう。

規模だけは日本一のヤマダ電機がサービスも日本一になった時、心配しなくても客はヤマダ電機を選ぶと思う。その代り、それができなければヤマダ電機は確実に滅びへの道を辿るだろう。

家電 アフターケア満足度 2011
日経ビジネス2011年アフターケア満足度アンケート

※店員の対応に関しては地域差や店舗差が存在し、私の感想は私の近くの地域を参考にしているので、当然、地域や店舗によってはヤマダ電機の対応が良くて、ケーズデンキの対応が悪い場合もあると思うがそこはご容赦願いたい。

(関連のある外部リンク)
業界の盟主ヤマダ電機、中間決算で赤字転落へ|東洋経済オンライン
ヤマダ電機、エス・バイ・エルへの苛立ち|東洋経済オンライン