2014年、私が行った防犯対策
当時、空き巣(侵入窃盗)の認知件数は年間約10万7千件。私の近所でも去年と今年で3件も発生していた。特に外国人による犯行は、日本人と違い「顔を見られたら殺した方がいい」と判断するほど凶悪だとされ、私はその計画性・凶悪性に強い危機感を抱いていた。
私は防犯フィルム、防犯カメラ5台、防犯砂利を設置した。
防犯フィルムは窓ガラスを破られにくくして時間を稼ぐ。空き巣犯は侵入に5分以上かかると半数以上があきらめるらしい。
防犯カメラは一戸建てでベランダ、表玄関、裏玄関、表側、裏側に計5台設置した。費用は約30万円。防犯砂利は大量に敷き詰めた。確かに音はするが、効果は正直よく分からなかった。
それから11年:劇的な改善と新たな脅威
空き巣認知件数は59%減少
- 2014年:約107,000件
- 2023年:約44,228件
空き巣認知件数は、11年で約59%も減少した。防犯意識の向上や防犯技術の進化が大きい。
ただし2023年は前年比21%増加しており、油断はできない。
しかし犯罪は凶悪化していた
2022年から2023年にかけて、「ルフィ」と名乗る指示役が海外から指示を出し、全国で広域強盗事件を引き起こした。
2023年1月、東京都狛江市で90歳の女性が殺害された。これはただの空き巣ではない。強盗殺人だ。
2024年8月以降も首都圏で広域強盗事件が多発している。犯行グループはSNSの「闇バイト」で実行犯を募集し、秘匿通信アプリで指示を出す。
2014年に私が感じていた恐怖は、11年後、さらに現実のものとなっていた。
ルフィ事件が示す新たな脅威
従来の空き巣との決定的な違い
従来の空き巣犯は「顔バレを恐れる」プロの犯罪者だった。下見を徹底し、住人と鉢合わせしないよう細心の注意を払い、見つかれば逃げた。(当時、私が最も警戒していた外国人グループでさえ、本国逃亡を前提としつつも、顔バレを避ける動きはあった)
しかしルフィ事件の実行犯は違う。彼らはSNSの闇バイトで集められた素人だ。この「非対面性」「匿名性」が、恐ろしい結果を生んだ。
顔を見られたら殺す
従来の空き巣犯なら、住人と鉢合わせしたら逃げた。しかし闇バイトの実行犯は違う。目撃者を残すくらいなら殺した方がいいという判断すらする。
なぜか。
彼らは指示役の顔も知らず、組織の全容も知らない。捕まっても上は安全だ。そして実行犯自身も、金銭目的で応募しただけの素人なので、犯罪への抵抗感が薄い。「バレなければいい」「言われた通りやればいい」という感覚だ。
狛江市の事件では、90歳の女性が激しい暴行を受けて殺害された。抵抗などできない高齢者に対して、だ。
これは従来の空き巣犯の行動パターンとは全く異なる。
犯人特定が極めて困難
指示役は海外から秘匿通信アプリで指示を出す。実行犯は使い捨てで、上層部の情報を持っていない。
ルフィ事件では、フィリピンに収監されていた日本人が指示役だったことが判明したが、それでも捜査は困難を極めた。2024年の広域強盗事件でも、警視庁と3県警が合同捜査本部を設置し約300人体制で捜査しているが、指示役には至っていない。
つまり、従来の「捕まえれば終わり」という構図が通用しない。
この新しい犯罪構造に対して、私たちは何ができるのか。
答えは、侵入される前に威嚇・撃退すること。つまり「攻めの防犯」だ。AI防犯カメラで不審者を即座に検知し、警告音を鳴らし、110番通報する。犯行を未然に防ぐことが、唯一の対抗策だ。
外国人犯罪の実態
2014年の記事では外国人犯罪について書いたが、11年経った今、正確なデータで状況を整理したい。
来日外国人犯罪は2014年の約14,267件から2024年は約21,794件に増加した。しかし在留外国人数も212万人から376万人へ77%増加している。
人口あたりの犯罪率で見ると、実は低下している。2024年の外国人の犯罪率は約0.41%、日本人は約0.22%。差はわずか0.19ポイントだ。
大多数の外国人は善良であり、問題は組織的犯罪グループにある。
技能実習生の失踪問題
2023年時点で約1万人以上の技能実習生が所在不明になっている。低賃金や劣悪な労働環境から失踪し、中には犯罪に手を染める者もいる。
「ボドイ」と呼ばれる失踪したベトナム人技能実習生が犯罪に手を染めるケースが社会問題化している。
デジタル時代の防犯:ネットセキュリティも重要に
闇バイトとSNSの危険性
ルフィ事件や2024年の広域強盗事件では、実行犯がSNSの闇バイトで募集された。「高収入」「根性あれば誰でも大丈夫」といった投稿に、経済的に困窮した若者が応募してしまう。
そして秘匿通信アプリ「テレグラム」で指示を受ける。メッセージは一定時間で消去され、証拠が残らない。
つまり、犯罪の入口も実行もすべてデジタルで完結している。
これは防犯にも新しい視点が必要だということを意味する。
個人情報の管理がリスクに直結
闇バイトに応募する際、実行犯は住所・氏名・身分証明書などの個人情報を指示役に提供している。
そして一度応募すると、「今さら抜けられない」状態になる。指示役は実行犯の個人情報を握っており、「逃げたら家族に危害を加える」と脅される。実際に、闇バイトに応募した男性が別の実行犯から暴行、監禁され金品を奪われる事例も発生している。
つまり、安易にネット上で個人情報を提供することは、自分自身が犯罪に巻き込まれるリスクにつながる。
あなたの自宅情報もネットに流出していないか
さらに恐ろしいのは、ルフィ事件では特殊詐欺で作成した富裕高齢者リストが強盗にも悪用されていたという事実だ。
つまり、あなたの住所、家族構成、資産状況といった情報が、すでにどこかのデータベースに入っている可能性がある。
SNSでの投稿にも注意が必要だ。旅行中にリアルタイムで投稿すれば「今、家は留守」と宣伝しているようなものだ。自宅の外観が映る写真、高価な物を自宅で撮影した写真も、犯罪者にとっては貴重な情報源になる。
デジタルリテラシーが防犯の一部に
2025年の防犯は、物理的なセキュリティだけでは不十分だ。
ネット上での個人情報管理、SNSでの投稿内容、怪しいバイト情報への警戒。これらすべてがデジタル時代の防犯対策の一部になっている。
特に若い世代には、闇バイトの危険性を周知する必要がある。「簡単に高収入」という甘い言葉の裏には、犯罪組織と個人情報を握られるリスクが潜んでいる。
防犯技術の進化:AI時代の到来
2014年の防犯カメラは録画のみで事後確認が中心だった。しかし2025年は違う。
AI搭載防犯カメラの登場
AIが人・車・動物を自動識別し、不審者を検知すると即座にスマホに通知する。従来の誤検知(猫や風に反応)が激減した。
スマホから遠隔でサイレンを鳴らして威嚇することもできる。離れていてもその場で110番通報できる。
価格も手頃になった。2014年に私が5台で約30万円かけた防犯カメラより高性能なものが、2025年なら1台2万円程度から買える。
スマートホームの普及
スマートロックで外出先から施錠確認や遠隔施錠ができる。スマート窓センサーは窓が開くと即座に通知する。
ホームセキュリティサービスも月額1,980円〜4,840円と手頃になった。
「守り」から「攻め」の防犯へ
2014年は「侵入されてから証拠を残す」守りの防犯だった。2025年は「侵入される前に威嚇・撃退する」攻めの防犯が可能になった。
AI防犯カメラが不審者を検知→即座にスマホに通知→警告音を鳴らす→110番通報→犯行を未然に防ぐ。
このリアルタイム対応が2025年の大きな進化だ。
2025年版:実践的な防犯対策
最低限これだけは(予算2万円〜)
- 窓の補助錠(1,000円〜)
- 防犯フィルム(5,000円〜)
- センサーライト(3,000円〜)
侵入に時間がかかる家になるだけで、空き巣犯の半数以上があきらめる。
おすすめ(予算10万円〜)
上記に加えて、AI防犯カメラ1〜2台(20,000円〜)とスマートロック(15,000円〜)。
AI防犯カメラは玄関に1台設置するだけでも、不審者を即座に検知してスマホに通知してくれる。
侵入経路別の対策
警察庁のデータでは、一戸建ての侵入経路は窓が約54%、玄関が約19%、勝手口などが約17%。
窓対策が最重要だ。特に1階の窓はすべてに補助錠と防犯フィルムを。2階の窓も室外機など足場がある場合は対策必須だ。
玄関はスマートロックと補助錠でワンドア・ツーロック。勝手口は忘れがちだが必ず補助錠を。AI防犯カメラは玄関、駐車場、裏口、庭に設置。高さは2.5〜3mが目安となる。
さいごに
11年前、近所で空き巣被害が3件発生したことをきっかけに防犯対策を強化した。
あれから11年、空き巣認知件数は59%減少した。しかし犯罪は凶悪化しており、油断は禁物だ。
2025年の教訓は、防犯技術を活用すれば低コストで高い防犯効果が得られるということ。
そして、問題は「外国人」ではなく「組織的犯罪グループ」だということ。大多数の外国人は善良で日本社会に貢献している。
しかし組織的犯罪には毅然とした対応が必要だ。犯罪者の国籍がどうであれ、日本国民の生命と財産を守ることが最優先だ。
そのためには警察の取り締まり強化、技能実習制度の見直し、国際的な捜査協力、そして私たち一人一人の自己防衛が必要だ。

