2014年、手巻きタバコを始めた
2014年、私は紙巻きタバコの値上げをきっかけに手巻きタバコにチャレンジした。煙草の専門店に行き、手巻き煙草に必要な道具を揃えてみた。ローラー(タバコを巻く機械)、タバコの葉(ゴールデン・バージニアをすすめられた)、フィルター、巻紙。全部で2,000円くらいだった。
最初は難しいかなと思ったが、やってみると非常に簡単だった。ゆっくりやってみても1分もあれば1本は作れる。機械にフィルターをセットし、タバコの葉をほぐしてから入れてローラーを3巻きくらい。その後ペーパーをセットして巻くだけだ。
味も普通の紙巻きタバコよりはるかに美味しいと私は感じた。
そして、手巻きタバコに変えた副次的効果なのだが、タバコを巻くのが面倒なので以前より明らかに本数が減った。普通のタバコは簡単にスパスパ吸えるから本数も増えていたのではないかと思う。このまま本数が減っていき最終的にやめる事ができれば最高なのだが…と当時は書いていた。
あれから11年:私はタバコをやめた
手巻きタバコに変えてから数年後、私はタバコをやめることができた。
もちろん、手巻きタバコに変えただけでやめられたわけではない。経済的な理由もあったし、家族から責められたこともあった。ただ、振り返ってみると、手巻きタバコの「面倒さ」も大きな要因だったことは間違いない。
普通のタバコなら吸いたいと思った瞬間に即座に吸える。しかし手巻きタバコは、まず巻く手間がある。この一手間が、「本当に今吸いたいか?」という自問を生み出した。タバコを吸うまでのステップが1つ増えただけで、本数が劇的に減ったのだ。
そして、手巻きタバコに変えた理由そのものが「金銭的負担の軽減」だった。このコスト意識が常に頭にあり、「そもそもやめれば0円」という発想につながっていった。
いきなり禁煙ではなく、まず本数を減らすことができたことが、最終的な禁煙を楽にしたと思う。
11年で何が変わったか
タバコの値段は上がり続けた。2014年の460円が、2025年には600円を超えている。11年で30%以上の値上げだ。
主な価格推移
- 2014年4月:460円(消費税8%へ)
- 2016年4月:値上げ(JTの収益強化)
- 2018年10月:480円(タバコ税増税)
- 2019年10月:490円(タバコ税増税)
- 2020年10月:540円(タバコ税増税)
- 2021年10月:580円(タバコ税増税)
- 2025年:600円超
もし私が吸い続けていたら、年間で数万円の負担増だっただろう。
加熱式タバコの登場
2014年当時、私にとっての選択肢は「手巻きタバコ」か「普通の紙巻タバコ」の二択だった。しかし今、その状況は一変している。
加熱式タバコの歴史
- 2014年11月:iQOS(アイコス)名古屋で先行発売
- 2016年3月:Ploom TECH(プルーム・テック)福岡限定発売
- 2016年4月:iQOS全国展開、アメトーーク!で紹介され爆発的人気に
- 2016年12月:glo(グロー)発売
- 2016年時点:日本が世界の加熱式タバコ市場の96%を占める
2025年現在、加熱式タバコの市場シェアは約40%に達している。日本は世界でも稀な「加熱式タバコ大国」だ。
もし2025年に禁煙を試みるなら、「加熱式タバコ」が選択肢に入るだろう。しかし、加熱式タバコは「簡単に吸える」。手巻きタバコの「面倒さ」こそが、私にとっては良い効果を生んだのだと思う。
喫煙できる場所が消えていった
2014年、飲食店では普通に喫煙できた。路上喫煙は一部の自治体で規制されていたが、駅や商業施設には普通に喫煙所があった。
主な規制の流れ
- 2019年7月:学校・病院は敷地内禁煙
- 2020年4月:改正健康増進法施行
・飲食店:原則禁煙(喫煙室設置は可)
・オフィス:原則禁煙
・東京都は更に厳しい条例(従業員を雇用する飲食店は原則禁煙)
2025年、喫煙所は激減した。路上喫煙も厳しく規制されている。喫煙者の肩身はますます狭くなっている。
喫煙率の推移
成人の喫煙率も減少している。
- 2014年:男性約30%、女性約9%
- 2023年:男性25.6%、女性6.9%
政府の健康日本21(第3次)では、2032年度までに成人喫煙率を12%にするという目標が掲げられている。
ちなみに、日本のタバコ価格は国際的にはまだ安い。
- 日本:約600円
- オーストラリア:約2,000円
- イギリス・カナダ:約1,000円
- フランス・香港・アメリカ:約800〜900円
今後も段階的な値上げが予想される。
2025年版:私が思うこと
2014年の私はブログ記事にこう書いていた。
今思うと、あの時やめられて本当に良かった。値段も馬鹿みたいに上がっているし、喫煙者の肩身も狭くなっている。
もちろん、タバコをやめることが正義ではないし、メリットもある。しかし、もしやめたいと心から思っている人は、今後もやめる努力を続けるべきだ。
その行動が三日坊主で終わっても、また別の選択肢で禁煙に成功するかもしれないから。

