NHKの病の起源(うつ病)を見て思った事

NHK病の起源
NHKスペシャル病の起源

去年の5月頃からNHKで放送されている病の起源

その第3集である「うつ病~防衛本能がもたらす宿命~」が昨日再放送されていた。

テレビをあまり見ない私だが、ことうつ病に関しては自身も苦しんだ経験があるのでついつい最後まで見てしまった。

内容についても納得できるものが多く、知らなかった事もたくさんあり、興味深く見させてもらった。

知らなかった事の一つはうつ病の原因が扁桃体にあるという事。

扁桃体(へんとうたい、英: Amygdala)はアーモンド形の神経細胞の集まりで、ヒトを含む高等脊椎動物の側頭葉内側の奥に存在する[1]。扁桃体は情動反応の処理と記憶において主要な役割を持つことが示されており、大脳辺縁系の一部であると考えられている[2]。 扁桃核(へんとうかく)とも言う。

この扁桃体が「天敵」、「孤独」、「記憶」、「言葉」といったモノ(扁桃体暴走4要素)から刺激を受けストレスホルモンというモノを過剰に分泌し、過剰に分泌されたストレスホルモンが脳の神経細胞を破壊して脳を委縮させるらしい。

そして、これらに対抗するキーワードは「平等」と「人と人の関係」。

番組ではうつ病の始まりはメソポタミア文明からだと言っていた。

それまでは狩猟採集型で、獲物を皆で狩って平等に分け合っていたのだが、農業の始まりにより穀物の生産性が上がり、余った穀物は富となる。その富は力のある者(階級の高い者)に集まり、「持つ者」と「持たざる者」という格差を生み出した。

この格差は様々な負の要素を生み出し、「持たざる者」はたくさんのストレスを受ける事になり、うつ病になってしまう。そしてこの格差は現代になって更に広がっている。

「平等」がうつ病に対抗できる証拠として、アフリカのハッザ族という狩猟民族はどんなにお腹が空いていても絶対に皆で獲物を平等に分けており、うつ病など皆無という事だ。

次に「人と人の関係」だが、ドイツでは田舎で生活している人と都会で生活している人のストレスホルモンの量は都会の人がはるかに多いというデータがある。

田舎では近所の80%以上の人が顔見知りで共に支え合って生きているのに比べ、都会では80%の人が顔も知らない人で人と人のつながりが希薄というのが影響しているらしい。

では、うつ病にならないようにするには皆が平等な社会を創ればいいのだろうが、そんな事ははっきり言って不可能だ。

まず、資本主義が絶対的に強いこの世界では共産主義など夢物語であり社会主義すら実現していない。小さな集落程度なら可能かもしれないが国家規模になると難しいだろう。

平等どころか今後はさらに都市が拡大し、貧困が深刻化していくだろうからますますうつ病の人が増えていくのは容易に想像できる。嫌な世の中だなとつくづく思う。

うつ病は一度なってしまうと元の生活に戻るのは難しい非常に厄介な病気だ。

私は10年程前、仕事中に急に胸が苦しくなり、手足がしびれる症状がでたので急いで病院に行って検査したが何も異常がなかった事が始まりだった。

数日後、今度は運転中に頭が痛くなり、意識を失いそうになって、これまた急いで脳の検査をしたが全く異常がなかった。

その後も寝ている時、急に電気が体中を走ったような感じになって目覚めると急に胸が苦しくなり異常な汗が出て救急車で病院に行ったのだが、これまた異常なしだった。

こんな発作が数日おきにでるようになり、とてもではないが仕事に行けなくなった。

それからますます症状は酷くなり、原因が分からない事の恐怖等などから頭がおかしくなりそうだった。

さらに幻覚や幻聴までも聞こえてくるようになり、何かが自分を狙っているという強迫観念が強くなってきて刃物を抱いて寝ていた事もあった。

そこまで酷くなってから毎回のように行っていた病院の看護師さんがもしかしたら精神かもしれないと教えてくれ、心療内科を紹介してくれた。結果はうつ病だった。

発作がでた時や眠れない時用にソラナックスという薬をもらい、治療用にはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という物に分類されるパキシルという薬を使用した。

これらを飲むと頭がぼーとして何も考えられなくなり、やる気が全くなくなってしまったが、確かに症状は全て治まった。

それから1年程薬を飲み続けたが、薬が効いている間はぼーとしていたり眠気がくると寝るだけの生活で生きているのか死んでいるのか分からないような状態だった。

しかも薬が切れるとめまいや頭痛、吐き気が酷くなり薬なしではとても生活ができなくなってしまった。

ある時、嫁が先生にいつまで飲み続ければいいんですかと聞くと、先生はいつまで飲めば終わりかは分からないがどちらにしても仕事に戻るのは無理だから精神障害者保健福祉手帳の申請をすれば少しでも生活の助けになると言い、嫁が泣いていたのを覚えている。

貯蓄がそこそこあったので障害者手帳の申請はしなかったが、さらに1年後には貯蓄はほぼ0になってしまった。

その時、このままではいけないという気持ちが急にでてきた。自分一人ならのたれ死んでも構わないが家族がいるのだから自分がなんとかしなくてはと思うようになった。

まずは思考を停止させる薬をやめなくては思い、先生に相談したがずっと飲み続けなければいけないと大反対された。

だが薬を飲み続ければ絶対社会復帰はできないと思ったので、自分でカッターで削って少しずつ少しずつ量を減らし2ヵ月程度でやめる事ができた。

それから運よく仕事に就き、少ない給料ながらなんとか頑張っている。

あれ以来抗うつ剤は一切飲んでいないが、年に1回くらいパニック障害がでるので財布にソラナックスを1錠だけお守り代わりに持っている。

今思うと、私がうつ病になった原因は格差やプライドの高さ、将来に対する不安だったと思う。

学生時代は成績もそこそこ良かったが、自分より成績の悪かった友人が待遇の良い企業に就職し自分の何倍もの収入を得ていた事に対する妬みや僻み、将来性のない仕事でいつ職を失うか分からないという不安が大きな要因だったような気がする。

私がうつ病から立ち直れたのは仕事から完全に離れて数年休めるだけの貯蓄があった事と、堕ちる所まで堕ちた時に自分は他人より劣る存在だという事を認められるようになった事、そして養わなければならない家族がいたからだと思う。

だが、もし貯蓄がなかったと思うとゾッとする。

生きていく為には働かなければいけない。生活保護という手もあるだろうが、その選択ができない人も多いだろう。

現に私はその選択ができなかった。

働かなければ生きていけないのに、仕事がうつ病の原因ならストレスから解放される為にはその環境から離れるのが一番なので働く事ができない。一体どうすればよいのだろう。

テレビではストレスがない状況をつくり、TLC(生活改善療法)を行う事によってうつ病の予防や治療ができると言っていたが、結局は生活に余裕がなければ難しいのではないだろうかと思ってしまう。

2008年に池袋周辺のホームレスを調査した結果、精神疾患を抱えている割合が62.5%だったというデータがある。

お金がなくてホームレスになり精神疾患を患ってしまったのか、精神疾患を患ってしまったからホームレスになったのかは分からないが、お金と精神は密接に関係しているような気がする。

私は番組で言っていた「平等」と「人と人の関係」によってうつ病から立ち直れたわけではないように思うが、もしこの世が平等で妬みや僻みがなく、将来に不安を持つ事もなく、他人との関係を良好に保つ事ができればおそらくうつ病にはならないだろうなと思う。

不可能な事は分かっているが、世の中がそんな風になればいいな。

‐薬に頼らずラクになる‐やさしいうつの治しかた

(参考にさせてもらったサイト)
NHKスペシャル|病の起源第3集うつ病~防衛本能がもたらす宿命~
脳深部刺激治療(DBS)|独立行政法人国立精神・神経医療研究センター
ホームレスの4~6割が精神疾患、夜回り通じ医療につなぐ|あなたの健康百科