メガソーラーの雑草対策に舗装はいらない

メガソーラーとは出力が1メガワット(1000キロワット)以上の大規模な太陽光発電の事だ。

原発の代替電力として期待したのか、それとも一部の企業を儲けさせる為なのかは分からないが、1キロワット当たり42円(風力約20円、地熱約26円)という意味不明な固定価格買取制度によって次々と金儲けをしたい企業が参入した。

いずれはドイツと同じように金儲けはできなくなるだろうが、原発の代替電力として太陽光発電が増えていく流れはエコの面では悪くない。

業務用太陽光発電の中でもこのメガソーラーというものはかなりの数のパネルを設置しなければならない。

一般家庭では主に家の屋根に設置するのがメジャーだが、メガソーラーはパネルの数を考えると屋根に設置するのは困難なので広大な土地に設置するのが基本だ。

では、ただ単に土地にソーラーパネルを設置すればそれだけでOKなのかというと実はそうではない。出来る限りたくさん発電させる(効率アップ)為には様々な問題点がある。

その中でも非常に地味でありながら、最も厄介な存在が雑草だ。

地上設置型のメガソーラーは、当然に設置された場所が低い。雑草が生えてくるとパネルに当たる日照を遮られてしまい発電効率が悪くなってしまうのだ。

雑草の繁茂を防ぐ為にコンクリート等で舗装をしたり、防草シートで防いだり、除草剤を撒いて枯らしたりと運営会社は採算性を上げる為に様々な手を打っている。

だが、コンクリートは輻射熱で効率が下がるし、打設時に高額の費用がかかり撤去時も大変、防草シートも費用は比較的安いが途中で破れて意味なし状態になる可能性大、除草剤は環境に悪すぎるので水質検査でアウトになる可能性もある。

現実的に考えれば、定期的に人の手で雑草を刈り取るのがベストかなと思っていたのだが、私の予想の斜め上のアイデアを考えた人がいた。

なんと草食動物を放し飼いにして雑草を食べさせるという小学生でも考えそうなアイデアだった。

だが、灯台下暗しとはこの事だろうか。こんな誰でも考えそうな事ほど案外考えつかないものなのだ。私も全く頭の中になかった。

産経新聞の記事なのだが、羊やダチョウに似たエミューという鳥を放し飼いにして雑草を食べさせている企業があるらしい。

羊エミュー

人の手で除草するとなると年間200~300万、大規模な所なら1000万円近くの費用がかかるらしいのだが、この方法なら草食動物の管理費だけじゃないか。

費用削減=採算性アップ間違いなしだ(羊の方は防草シートと併用しているらしいが破れてもあまり気にしなければ防草シートは圧倒的に安い)

コンクリート等で舗装して草を生えないようにしてしまうよりも、気分だけかもしれないが自然と共存しているようで心持ちも良い。

事実、朝夕の羊の出し入れや清掃等は近くの住民に手伝ってもらったりと地域住民との交流も生まれているらしく、地元小中学校の生徒の見学会も予定しているらしい。舗装で固めた殺風景なメガソーラー施設とは大違いだ。

エミューは外来種であるし、羊も繁殖力が強かったりで気をつけなければいけない点も多々あるが、コンクリート等の資源をあまり使わずに(コンクリートに使用している骨材資源は枯渇の危機)出来る限り費用を抑えて最大限の効果を追求する事は間違っていないように思う(これから課題は出てくるだろうが)

この方法が最上とは思わないが、舗装で草を抑える以外の道を歩もうとしているイノベーション精神は素晴らしいと思う。

雑草を抑えるその他の方法で、コンクリート舗装以外でも土を固めた土舗装と呼ばれる資材があったので調べてみたが、結局骨材資源は使うし(一部廃材を使用している企業もある)、セメント系も入っている。輻射熱を抑えられる点と撤去時のメリットはありそうだが、値段は高いしなによりもろそうだ。やはり舗装系は限界かな。

(関連のある外部リンク)
メガソーラーを救う草食動物たち 雑草モグモグ…発電量維持と経費削減に貢献|サンケイビズ
ドイツの太陽光発電、「失敗」から日本が学べること|EE Times Japan
骨材資源をめぐる諸問題℃糟ケ開発と環境保全・- 産総研
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