日本人が大好きなマグロ。
どれくらい好きかというと、世界中でとれるマグロの約3分の1を日本人が消費しているほどだ。
特に今問題になっているのはクロマグロ。
食用魚の最高級品であり、味、価格とも段違いである事から「黒いダイヤ」ともいわれている。このクロマグロの数が激減していっている。
その原因は20~30kgくらいの未成魚や抱卵魚の乱獲だといわれている。
鳥取県境港が行っている巻き網漁はその代表格で、青森県の大間1年分のマグロを巻き網により1日で獲っているといわれるくらいの乱獲ぶりだ。
資源回復に向けて漁業規制の動きや近畿大学による完全養殖などの研究もすすんでいるが、漁業規制に関しては削減率の低さ、完全養殖に関しては価格面の問題もある。
そこでマグロに代わる魚はいないものかと様々な研究がすすめられている。
回転寿司でマグロの代用魚としてよく使われているアカマンボウはここでは省かせてもらう。今私が注目しているのはスマという魚だ。
この魚がスマだ。マグロとカツオをたして2で割ったような外見をしている。
このスマは他にもヒラガツオやスマガツオ、ヤイトとも呼ばれており、全長は約1m、体重は10kgほどにもなるマグロの仲間である。
私も今までの人生で数回しか食べた事がないのだが、カツオとマグロの中間のような味ですこぶる美味だ。
個人的には未成魚のマグロより美味しいと思う。あまり漁獲量が多くない希少な魚の部類に入るので食べた事がないという人も多いだろうと思う。
このスマをマグロの代用魚として使えないかと研究している機関がある。
四国の愛媛県にある愛媛大学南予水産研究センターという所だ。このセンターの後藤理恵という准教授が代表者として研究している。
スマは実験魚として利用された歴史が浅いので養殖に関する研究のデータに乏しく現在は試行錯誤を繰り返している最中だが、私が見たテレビ番組では大きめのスマが生簀で元気に飛び跳ねていた。
課題は成熟までにかかる2年をどれくらいまで短縮できるかなど盛りだくさんだがなんとか形にして欲しい。
愛媛県はブリの養殖で有名な県だが、ブリの価格は低迷する一方なので同じ生簀で養殖ができる可能性があるスマが養殖のレパートリーに入ればリスクヘッジにもつながると思う。
早期の実用化を切に願うが研究予算が驚きの280万円との事なのでもう少し時間がかかるかもしれない。
いつの世も天然物をとる漁師が注目を浴びがちだが、このように天然資源を減らさずになんとかしようとしている養殖漁師が私は好きだ。
倫理的な意味では天然物より食べられる為だけに生み出された養殖物を可愛そうに思うが、世界的な人口増加により天然資源が少なくなっていくのは目に見えている。
そのような中救世主になるのは間違いなく養殖産業だ。是非とも頑張ってもらいたい。
【関連のある外部リンク】
・マグロ類の完全養殖を目指した基礎研究-えひめ水産イノベーション
・スマ-Wikipedia
・ウナギの次はマグロが消える-WEDGE8月号特集-WEDGE Infinity
・クロマグロ等の養殖科学の国際教育研究拠点-近畿大学グローバルCOEプログラム
・おいしいね!回転寿司で大活躍の偽装魚まとめ-NAVER まとめ